はじめに
本棚を整理してたら、昔書いたノートが出てきました。 走り書きですが、ラマヌジャンっぽい数式の作り方というか、 そのヒントというか解説を読んだ時のもののようです。
どんな本だったのか雑誌だったのかは、 今ではすっかり分からなくなってしまいましたが、 そのメモからすると以下の数式が成り立ちます:
$$ 3=\sqrt{1+2\sqrt{1+3\sqrt{1+\cdots n\sqrt{1+(n+1)\sqrt{1+(n+2)\sqrt{1+\cdots}}}}}} $$
この式は、無限にルート記号の中身を続けていくこともできますが、 あるところで打ち切ってもきちんと 3 という値になります。 例えば、平方根を 100 個入れ子にした場合は、
$$ 3=\sqrt{1+2\sqrt{1+3\sqrt{\cdots 100\sqrt{1+101\times 103 }}}} $$
となります。
ここでは、なぜこのような式が成り立つのか、 その説明をしてみます。
鍵となる数式
このラマヌジャンが考え出しそうな数式…といっても、 私がこの方法を知ったのは、 確かラマヌジャンの数式のネタばらしについての解説だったと思います。
※ しかし、冒頭でも書いたようにそれが何だったか、 今となっては分かりません。 この本に載ってるよ、という情報をお持ちの方は 教えていただければ幸いです。鍵となる数式は
$$ f(n)=n \cdot (n+2) $$
です。
あまりにも簡単で拍子抜けしてしまったかもしれませんが、 本当にこれだけです。
この数式を次の様に展開するのが重要です:
$$ \begin{align*} f(n)&=n \cdot (n+2) \newline &=n \sqrt{\left(n+2\right)^2} \newline &=n \sqrt{n^2+4n+4} \newline &=n \sqrt{1+n^2+4n+3} \newline &=n \sqrt{1+(n+1)(n+3)} = n \sqrt{1+f(n+1)} \end{align*} $$
すごいですよね。 よくこんな恒等式を見つけ出すものです。 これが数学的センスというやつでしょうか…すごすぎます。
で、当然 \( 3=1 \cdot (1+2) =f(1) \) なので、
$$ 3=f(1)=1\cdot\sqrt{1+f(2)}=\sqrt{1+f(2)} $$
f(2) といえば、\( f(2)=2\sqrt{1+f(3)} \) であるので、 それを上式代入して、
$$ 3=\sqrt{1+2\sqrt{1+f(3)}} $$
以下同様に 100 回繰り返すと、
$$ 3=\sqrt{1+2\sqrt{1+3\sqrt{\cdots 100\sqrt{1+101\times 103 }}}} $$
となり、一般的に書くと冒頭に書いた式、
$$ 3=\sqrt{1+2\sqrt{1+3\sqrt{1+\cdots n\sqrt{1+(n+1)\sqrt{1+(n+2)\sqrt{1+\cdots}}}}}} $$
となるわけです。
あとは、これを応用して、8=f(2) や 15=f(3) などを使って、 同様の式をいくらでも作り出せます。
…と、仕組みが分かってしまうと「なーんだ」ということとなりますが、 なんとも面白いことを考える人がいるものだと感心するばかりです。
私の若い頃のメモには、こんな感じの走り書きが時々あります。 多分、これにヒントを得たであろう変形版も書いてありますので、 これもまた機会をみて Web にまとめていきたいと思います。