はじめに
なぜ、分数の割り算は、割る方の分数をひっくり返して(=分子と分母を入れ替えて) 掛け算するのでしょうか?
子供に聞かれたときに、きちんと説明するために、 この文書をメモがてら書いてみました。
もちろん、小学生の時に、もしかすると習ったのかもしれませんが、 すっかり忘れてしまっているので、改めて書き起こしてみます。
そもそも分数どうしの割り算とは何か?
分数同士の割り算とは、一体何を意味するのでしょうか? その意味に立ち戻って考えてみます。
例えば、1/2 ÷ 1/4 を考えてみます。 具体的にイメージするために、ピザが 1/2 残っていたとします。 まあ、半分ですよね。
それを 1/4 で割るということは、 1/2 だけ残っているピザを、1/4 のピザ片で割ると=つまり、 1/4 のピザ片が何個分なのか?という問題に他ならないことが分かります。
1/2 と 1/4 では都合が悪いので、分母を揃えてみます。
すると、2/4 を 1/4 で割るという問題となり、 2/4 は 1/4 が 2 個あることに他なりませんので、 これは 2 ÷ 1 となり、答えは 2 となります。
つまり、分母が同じであれば、 分子同士の割り算に帰着される訳です。
これを式で書くと、
$$ \frac{a}{N} \div \frac{b}{N} = a \div b $$
となります。
一般の場合について
分母が揃っていれば、分子同士の割り算に帰着されることが分かりましたので、 一般の場合について考えてみます。
ここでは、次の式を考えてみることとします:
$$ \frac{a}{b} \div \frac{c}{d} $$
a/b および c/d の分母を揃えるためには、 それぞれに d/d と b/b を掛けます (そもそも、どちらも 1 なので掛けても値は変化しません)。
すると、
$$ \frac{a}{b} \div \frac{c}{d} = \frac{ad}{bd} \div \frac{bc}{bd} = ad \div bc $$
を得ます。
割り算を分数で表すと、例えば x ÷ y は x/y と書けますので、 結局、
$$ ad \div bc = \frac{ad}{bc} $$
となり、これは
$$ \frac{ad}{bc} = \frac{a}{b} \times \frac{d}{c} $$
に他なりません。
結局どういうことなのか?
結論から言うと、「ひっくり返して掛ける」というのは 単なる公式 であり、 「分子と分母を入れ替えて掛ける」ことが分数同士の割り算では「なく」、 原理原則に従って分数同士の割り算を計算してみると、 「結果として」分子と分母を入れ替えて掛ける「こととなる」 ーということが分かりました。
今回は、分数同士の除算の意味に立ち返って計算を行ってみました。 もうひとつ説明する方法があるのですが、これはまた別の文書で説明したいと思います。